松本潤担ブログ @ニューヨーク830番地

遠くても。同じ空の下、繋がってるよ、とあなたが言ってくれるから。

当て書きの三谷、ここに健在なり

三谷幸喜x嵐のしやがれ、面白かった!

三谷幸喜と言う人は、人付き合いが嫌いな割には目立ちたがりの好かれたがりでかなりエキセントリックな人物。

人付き合いは嫌いだけど、人物観察力にめっちゃ秀でていて、脚本を書く時は大概頭の中で思い描いた役に実在の俳優を当てはめて、その人だったらこういう風に返すだろうリアクションを盛り込んで物語を書き進めていくわけです。

でも自分の好きな俳優さんしか観察する気がないからか、はたまたあまり知らない俳優はイメージが湧かずキャスティング時の候補に挙がりようがないからか彼の起用する俳優さんはいつも大体三谷芝居常連メンバーだという(笑)。

今回やったような、ああいった即興芝居のつけ方はエチュード形式と言って、与えられた筋と大まかな役のキャラクターに合わせて役者の一人ひとりが繰り出す言葉や動きを演出家兼脚本家が時に修正し、時にもっと違うものを引き出し、それをひとつの作品に仕上げていくわけです。

三谷さんは脚本家なので口移しで大まかなせりふは与えていましたが、時に役者に丸投げの場合もあります。今回はメンバーの口からふいに出た「今度」という一言を上手に拾ってさらに広げました。

まず、そこを踏まえていただいて。

今日も長いので、続くことにします。

【潤くんの演技についての私の感想も追記しました】

まず三谷さんがリーダーを俳優役に据えたのは流石だな、と思いました。リーダーのもつ平均的社会生活に完全にフィットインしない自然体さとアーティスティックな才能を理解していないとああいう配役にはなりえません。惜しむらくは、リーダーがいつものごとく自然体〜で自分から前に出てこなかったこと。あれではどうしても脇役中の脇役で終わってしまいます。せっかくパパラッチのシチュエーションを振ってくれたのに、残念。なにかもう一捻りして欲しかったですね。でもリーダーはゆっくりじわじわと役を自分の方に引き寄せる人なので今回の即興エチュードでは十分な演技の実力を発揮出来なかったということですね。

相葉さんはあれだけ「今度」で空気が悪くなっているのに、更に陽気に「今度」を繰り出しちゃうという設定をうまい具合に表現できてました。彼の表現の仕方が面白いのでますます芝居の筋がまとまって話が動き出し。そういう風に瞬時に面白い要素を拾って引っ張りあげる三谷さんがお見事。

翔さんは一回目、せりふを口移しした時の「お前の分はお前が頑張るんだよ」の言い方の方が実は私は好きだった。でも三谷さん演出的にはあそこはもっと熱く上目線で語って欲しかったんですね。確かに私が好きな方の言い方だと、いいヤツすぎる。さらっとIT会社の若社長をこなしていたけど、もう少し嫌味というかアクが強くでた方が良かったということでしょうか。翔さんがやると、とにかく爽やか。

そしてやはりニノちゃんは瞬発力が凄い。結局主役に収まってしまいました。もちろん、三谷さんはもともとは誰か一人を主役に据えるつもりではなかったと思います。でも五人を動かしてみたら自ずと一人が抜きん出てしまった、ということでしょう。

素晴らしい。

最後、二人の方に行きかけて足を止め、舞台奥のカキワリの道に向かって歩き出すという、失業中の若者の迷いや諦め、さらには厭世観みたいなものを感じました。確かに、初めから「最も屈折している」というニノちゃんの一筋縄では行かない部分をズバリ指摘していますから、何かやってくれるんじゃないかという期待はあったと思いますが、まさかあれほど「舞台映え」する芝居を即興で繰り出すとは三谷さんも感心したと思います。

それにしても、いくら失業中でも赤ジャージにタオル鉢巻でクラス会には出ないでしょ、とツッコミ入れときます。普通クラス会は見栄の張り合いの場だから、失業中でもそれなりのカッコはしていくでしょう?それもしないほど屈折した人間だという設定なのか。

深いな。衣装選んだのは一体誰なんだろう。

でも役者一人ひとりがどれだけコントリビュートできるかで、全く違う作品が出来上がるのは面白いですね。特に時間がもっとあったら、他のメンバーのキャラがもっと立って別の展開をも生んだんじゃないでしょうか。

即興でやるには惜しい企画ですねぇ。

三谷さんの芝居では、当初の予定が役者さん同士のケミストリーにより狂ってしまうことがよくあります。解りやすい例えだと、かなり昔の作品ですが「王様のレストラン」。

当初は筒井道隆くん演じるレストランの若きオーナーと山口智子さん演じる新進だけどコンプレックスの塊なシェフを恋仲にさせようと思っていたのに、いざ芝居が始まってみたらシェフは松本幸四郎さん演じるオーナーの教育係の方にココロが向いてしまったので、脚本もそういう方面に軌道修正した、みたいな。

でも三谷さんが、嵐さん一人ひとりの「パブリックイメージとは少し違うキャラクター」(ここ重要)をよく理解してくれていたのがオタ目線ではとても嬉しいです。

むかーしさ、「古畑任三郎xSMAP」っていう特別ドラマをやったんだよね。私、ビデオ買っていまだに持ってるの。あれは本当によく出来た作品だと思いました。(ご覧になったことがない方は是非、この機会に。)

ああいうの、古畑じゃなくてもいいから「x嵐」でやって欲しいなぁ。


ところで潤くんの白ワイシャツ背中!

あれに萌えずして?!

熱くて時に駄々っ子で基本スゴクいいヤツ(爆)、やっぱりそれが潤くんなんだよね。
友情に厚いので「今度」と交わされるのは傷つくけど、仲間のために使い走りするのは厭わない。雪が降るほど寒いはずなのに、スーツのジャケットを着ないのはお酒で火照っているせいか、はたまたそれほど熱血なキャラを強調しているのか。

でも多分実際のところは、上腕二等筋が育ちすぎちゃって用意された衣装に腕が通らなかった、といったところでしょうか。(それってスゴくない〜?)

【追記します】

潤くんの演技についてですが、私が言うと潤担の贔屓目が入っているだろうと思われるので特に言及はしなかったのですが、書かないと書かないで良くなかったのか?と心配されるので書き足すことにします。

ただ私はプロの演劇評論家ではないので、こんな上目線で評するのはおこがましくてちょっと恥ずかしくもあるのですが…。

率直に言いますと、絶賛は出来ずとも、卒なくこなしていて良かったと思います。

即興ということを考慮すると、彼の演技力という点においては十分あるし全然悪くないです。役柄上リーダーの俳優や翔さんのIT社長以上にキラキラされては困りますので、良い具合に控えめで普通のサラリーマンに見えたというのは特に良い点だと思います。

リーダーとは反対に、彼は役を作り込んで行くタイプなので、こちらももっと時間をかければそれだけ上達の余地があるでしょう。ただ、演出家の意図するところを素早く理解して的確に演技に反映させる能力にはいつも感心させられます。それって、言うほど簡単なことではないですから。彼によって芝居が牽引されていたのは間違いないです。

重箱の隅をつつくようなことを言えば、十分主役になりえるキャラクター設定だったにも係わらず、ニノちゃんに喰われた感は否めません。でも最終的に全体を見ると立派な準主役だったのではと思うと同時に、収まるべきところに収まったとも思います。

私が思うに、潤くんは主演よりも準主役のクセのある役をやらせた方が面白い芝居が出来る人なんだろうな。

楽屋裏で見せた真剣な眼差しに、きゅん。
お芝居することがとても好きな潤くんが大好き。(結局そこだ。)

蛇足ながら。

あれと同じものを東京サンシャインボーイズ(三谷さん主宰の劇団。2009年より15年間の休止中)のキャストに当てはめてみたら、

IT社長 → 西村雅彦
自営業 → 甲本雅裕
サラリーマン → 相島一之
俳優 → 梶原善
失業中 → 近藤芳正(客演)

かなぁ。もっと膨らませて、一人ひとりの「今」とのオムニバス形式にしたら凄く面白いモノが出来上がると思うな。俳優がなんでパパラッチに追われているのか、とかめっちゃ描き甲斐がありそうだし絶対面白いと思う。サラリーマンがなんでそんなに昔の仲間と飲み明かしたいのかの理由、とか「今度」にまつわるちょっとしたトラウマとか。それか仕事上手く行ってないの?な〜んて。

【追記終わり。】

来週は生瀬さんの京都かぁ。元そとばこまち座長(京大で発足した劇団)だもんね。

でも蔵之助さんの回とちょっと被る感じ…?

それにしても私のブログっていっつもだらだら長いな。
こんな垂れ流しの文章なのにいつも読んで下さってありがとうございます。