松本潤担ブログ @ニューヨーク830番地

遠くても。同じ空の下、繋がってるよ、とあなたが言ってくれるから。

「あゝ、荒野」感想 その5

どっひゃ〜!感想その5ですって。我ながらしつこいなぁ…。

でもね!その位クオリティの高い舞台だったんです。

内容も深いから色々語るネタが多いし…。

今日はようやくベテラン勢のことに少し触れておきたいと思います。

【続きを読む】が宣伝に埋もれちゃってて分かりにくいんですけど…。

やっぱり畳んでおきます。

まず勝村さん。私が一番お芝居を見ていた時期にはすでに第三舞台を退団されていたこともあり、実はこの方の舞台を拝見するのは今回が初めてでした。

ただ出てきた瞬間に思ったのが、「さすが舞台のベテラン!」ということ。呼吸が違うんです。まったく笑いのない場面の笑いのない台詞なのに、笑いに変えるその呼吸。あの発想はどこから出てくるんでしょうね。ともすると陰鬱なだけの場面の連続に少しメリハリが出たと思います。

自分が達成出来なかった夢を若い新次やバリカンに託してその続きを見続ける、ちょっと哀愁ただよう片目のコーチ。あまり前面に押しては描かれていないキャラクターにも関わらず、強い印象を残しました。

それと、この方は役柄としても新次を育て叱咤激励しつつ温かく見守るんですが、現実にも潤くんを同じようにサポートしてくれていたんじゃないでしょうか。千秋楽のカーテンコールの様子を伝え聞いたところ、そんな風に思いました。潤くんが周囲の大人に愛されているのが極々嬉しい…。

私が個人的に注目したのは、舞台上でさらりと炒め物を作ったあのバーのマスターです。すごくいい味出してましたね。彼はバリカン派で新次のことはあんまり好きじゃないと口ではいいますが、本当の所は新次に焦燥感を抱かされている一人でしょうな。(まぁー、あの新次じゃ無理ないけど!)

それと警官の一人を演じた恰幅のいい方の俳優さん…。(飯田邦博さんの方かな?)ラッパ屋のおかやまはじめさんみたいな声と台詞回しが好きでした。この方も女装してダンスなんかもされてましたね。

もろ男性な役者さんを女装させてダンスさせるっていう演出アイデア…デカダン的空気を醸し出したかったんでしょうか。歌舞伎町の「反社会的なこと何でもアリ」感が出てよかったと思います。

自殺研究会の面々も理屈っぽい感じがよかったです。あの「ボクシングなんて野蛮」と言ってチケットを受け取らない学生、最高!ごく脇役なんだけど、ほんと、ナイス存在感でした。笑いも起きたし。彼らは進研ゼミCMの翔さんも真っ青ってくらいとうの立っている(失礼;)方々ですが、それが返ってよかった気がします。

井出らっきょさんを(柳ユウレイさんも)舞台で初めて拝見しましたが、たけし軍団での体当たりなお仕事の印象しかなかったので、目からうろこでした。なかなかいい味の役者さんじゃないですか。蜷川先生はすごいですね。いろんな所から人材を引っ張ってきて才能を引っ張り出すんですね。

で、石井愃一さんですが。ワタクシにとってこの方は「ウルトラマンメビウス」の隊長(田中実さん、ご冥福をお祈りします…。)の太鼓持ちなんですよね。あの役の印象を持ってタンポポスーパー社長を見ても違和感はなく、安心しました。中年男のうら悲しさをちょっとコミカルに努めて明るく表現されていたような。それがいよいよ哀愁を誘う…。小賢い学生に引っかかっちゃう程の「構って欲しい」感をすごく感じました。でも実は社会では成功者だし、妻を殴り始めたというところではもう少し黒い感じが出るかな?と期待しましたが、それ程でもなかったです。もっとどす黒くてもよかったかも。

彼もまた新次に魅了され、己の立ち位置に葛藤する一人ですが、彼の独白の際に、ちゃんとその姿を想像できる程の強い印象を新次役の松本潤が観客に残せていた事もこの舞台の成功の鍵だったと思います。

ここに直接触れなかった俳優さんたちもそれぞれにそれぞれの持ち場を全うして素晴らしかったです。脇役でも手を抜くことなく全てのパーツが一生懸命なことがあの大喝采に繋がったと思います。

長くなりましたが一応、これでざっとした感想は言い切ったかな。

あ、音楽もよかったです!あのボーカル入りカノンの調べが物凄く印象的でした。

実はまだ言いたい事はあるんだけど、それは舞台自体の感想とは別なのでとりあえず感想はその5で終わりにしておきます。

お付き合いありがとうございました。-----