「失恋ショコラティエ」第8話 サエコさんの気持ちに寄り添ってみた
爽太くんが、アホ可愛い。
潤くんの細やかな瞳の揺らぎや手の動きで、今週も小動爽太がこの世界の正義です。
往生際が悪かろうが、優柔不断だろうが、流されやすかろうが、それも爽太くんの魅力の一つだよね!と思わせるのは松本潤の演技の賜物です。
これは水川あさみちゃんにも言えることだけど、シリアスとコメディの振り幅が絶妙で、必ずきゅーんとさせるし、必ず笑わせるのです。
背徳が溢れる世界なのに普通に笑えるのが逆にリアルだなぁ、と思います。
サエコさんのことを、怖いとか気持ち悪いとか一ミリも思わなかった私はどうやら世間とは少しズレているようです。
でもドラマのサエコさんはとても愛されたがりで、自分の欲求に正直で、客観的に見ている分には憎めないんです。
確かにわざわざ旦那のスイッチを押すような一言を投げつけたり、疑われるような態度をとったりと、彼女に全く非がないわけではないけれど。
でもなんかそういう風になる気持ちも分かるよなあ…って思えるのは、サエコさんの策略にまんまとはまっているのかもしれませんね。
サエコさんって現時点で経済的に自立してないからとても立場が弱くて、したたかにやらないと生きていかれないじゃないですか。
実家も味方についてくれないって辛いだろうな、って思うんです。
そんな中、きちんと家事をこなして、モラハラにも耐えてるのって、ある意味偉いと思うんですよね。
逃げ場がなくて鬱になっちゃう人もいますから、爽太くんのショコラで現実逃避する位可愛いもんだと思うのは間違ってますかね…。(そりゃ不貞は問題あるけどさ)
それにサエコさん、一度は常識的に断りのメールを書きかけた訳ですよね。
でもジレンマがあって、すっぱりと切り捨てることが出来なかった。
爽太くんのショコラが今のサエコさんの心の支えだから。
そして爽太くんのショコラと爽太くんはもはや一心同体のようなものなんじゃないかな…。
でも旦那さんとの価値観の違いを旦那さんショコラ食べちゃった事件で思い知らされて、ボンボンショコラがなくなった日にショコラヴィに行くことを決意したのかな…。
サエコさんの気持ちはモノローグとして語られないから想像するしかないけれど、これ、サエコさん的には一大決心して爽太くんの所に行ったわけですよね。
『私のことあんなにも好きだって言ってくれたんだし、もしかしたら私を現状からさらい出してくれるかも?白馬に乗った王子さまかも!』っていう、全女子が少なからず抱いたことのあろうお姫さま願望がむくむくと首をもたげてサエコさんの理性を食い破ったのかもしれません。
もちろん、「もうやめるね」って言われたし他に女がいることも知ってるから、とりあえず指輪も離婚届も手紙も残さずっていうのが保険みたいでズルいと言われれば否定は出来ません。
でも先が見通せる大人だったらそれが普通かなぁ…。出てってやる~!って大騒ぎする人ばかりじゃないってこと。
12年も自分に片想いしていておいて、パリから戻って来た後も何度かチャンスはあったのに全く一線を越えてこない爽太くんだから、期待はしたけれど果たして自分を引き受けてくれるとの信頼は出来てないって感じでしょうか。
爽太くんはサエコさんが何を考えているのかよくわからないと言いますが、サエコさんにとっても爽太くんって謎だと思うんですよね。
『なんで絶対に気があるのに手を出してこないのーー???』って。
で、実際ショコラヴィに着いたら、爽太くんの妄想にあったみたいにハグで迎えてくれる訳でもなく、なんか気不味そうにしてるし、
「旅行?」とかきくし、家出って言ったら「旦那さんと喧嘩した?」とか聞くし。
『そこはさー、「俺のために家出して来たの?サエコさん!心配しないで、俺が守るから!」ってなるべきでしょう?!』って思ってたんじゃないかな。(別に爽太くんのために出てきた訳じゃないけどね。)
『あんな告白して人の気持ち揺らがせておいて「もうやめるね」ってマジで本気なの?!』とか。
で、泊まるところもなかなか俺のとこに来い!的なことを言わないから『もー!爽太くんってホント鈍感!』っとばかりにチラッと視線流して倉庫部屋のヒントを与えるとか、サエコさん、頑張ったよね。
サエコさんのすごいところは、すべての行動を相手側に起こさせるところ。
でも彼女が全部が全部を計算して動いているかというと、そうでもない気がします。
爽太くんが自分を残して約束先に向かおうとしているのを一度は素直に受け入れましたからね。
『あー、やっぱりこの人は私をさらってくれる程の意気地も覚悟もないんだな…。ざーんねん…。じゃあいいや。』
人に好かれたいサエコさんは自分の我儘を押し付けたりはしないんです。
爽太くんが携帯を忘れたのは偶然だったと思います。そしてサエコさんはすぐにそれに気付き、窓から呼びかけようとしたに違いありません。
そしたらねー、アホの子爽太くんが下でなんだかおバカなことやってるじゃない?笑
サエコさんはそれを見て賭けに出たんだと思います。
戻って来たら、今度こそは一線を越えさせてあげる、と。
ゲームセンターのUFOキャッチャーで、もう一歩で落ちそうで落ちない景品ってあるでしょう?
爽太くんはあれ。
ちょっとつついても微動だにしないのが何回か続いて。
引っかかるけど、落ちてこなくて。
諦めて遠巻きに見てたら他の人に取られそうになって。
でもまだ落ちてない。
今行って頑張ったら自分が落とせるかも、って。
☆
「本気で好きってどういうことですか?」
これ、超脇役の子が言った「誰かの一番になりたい!」に並ぶ、この作品のテーマだと思います。
好きにもいろんな好きがあって、一言で言い表すのは至難の業。
サエコさんの場合は、誰かの一番として愛される自分が好きだから、誰かを好きになるのに本気も遊びもないんでしょうね。
わざわざ宅配便で友人にバレンタインにチョコレートを送る気遣いも同じ。人に好かれる自分が好きだから、好かれるためにちゃんとマメに振る舞えるんです。そこに本気も遊びもない。
爽太くんのことは好きだけど、それは爽太くんくんが自分を好きでいてくれるから、自分の価値が上がったようでいい気分にさせてくれるから好きなんでしょう。
それに爽太くんカッコいいし優しいし話も合うし何てったってチョコレート王子ですから!
チョコレートが大好きなサエコさんは、自分好みのショコラを作ってくれ、しかも身体そのものからチョコレートの香りを漂わせる男の人が優しくしてくれるのはとても嬉しいことだと思うんです。
でもなんでかな、サエコさんがどんな風に爽太くんを好きだろうがあまり気にならないの。
この物語の世界は爽太くんがサエコさんを好きという土壌の上に形成されているからでしょうか。
爽太くんのあの幸せそうな微笑みを見たら、もうなんだっていいじゃん、って気になるのです。
爽太くんがどんなに努力してえれなに向かおうとしようと、爽太くんの深層意識がサエコさんを求めているのは明らか。
サエコさんをカフェに迎えに行く途中、えれなからのメールを見た爽太くんの困り顔が、サエコさんを見た瞬間にあんなにも嬉しそうにほころぶのですから。
爽太くんは愚鈍でイノセント。
そしてイノセンスは時にすごく残酷なのです。
理性で考えてえれなを選ぼうと努力してみても、爽太くんにとってえれなとの関係は焦ってまで手に入れたい未来ではないってことが8話では明確に具象的にも暗示的にも描かれていました。
☆
柔らかなベビーピンクの服に身を包み、すっかり男受け路線にルート修正して来たえれなさん。
残念です。
あなたにはどぎついギラギラネイルにアバンギャルドなモデルっぽい服でブイブイ飛ばし続けて欲しかったです。
それが女受けってことでしょーが!
サエコさんの亜流目指してどーすんのよ!
爽太くんの絶対的女神のサエコさんと同じ路線じゃ勝ち目ないじゃないの!
見た?後朝のフレンチトースト、あ~ん。
潤くん的には後朝であ~んは時期尚早と思ったけど、演出意図があってのあ~んらしく。
えれなともやってたから、対比だろうし、えれなと爽太くんがやってたことを、サエコさんがつぶさに塗り替えて行っちゃうんだからね!!っていう示唆なのかな、と思います。
これまでの練習成果をがんがん活かしちゃうんだから~!…っていうのはちょっと違うかな。笑
もちろんパワーバランスはえれな<爽太 と 爽太<サエコさんですしね。
サエコさんは最強の「悪ボス」(by 潤くん)なんだからして。
そして薫子さん。
小動DNAに期待しちゃダメだ!
私も実は薫子さんが爽太パパに泣きついて味方につけて…って展開を想像してたけどさ。
脆くも崩れ去ったわ~。笑
薫子さんが残り3話のどこかで何らかのアクションを起こすことを期待するんですけどね、ダメでしょうね。
サエコさんに簡単に論破されてましたし。
薫子さん、文句ばっかで動かないんだもんね…。
でもラストで爽太くんに必要以上に長い時間抱きついてたのは薫子さんにしては大健闘だよ!
あなたが頑張ってくれないと話が面白くないから頑張れ~!!!
ということで、今週も見所満載。
毎日リピれます。
ありがたい!