松本潤担ブログ @ニューヨーク830番地

遠くても。同じ空の下、繋がってるよ、とあなたが言ってくれるから。

アメリカ人と観た「陽だまりの彼女」

早いもので、映画「陽だまりの彼女」が公開されてから二年が経過しました。

今日はその公開記念日ということで、陽だまりの彼女にまつわる話を書きたいな…、と思います。

題して、「アメリカ人と観た『陽だまりの彼女』」!

簡単に説明しますと、アメリカ生活も長くなってくると、ひょんなことから日本語を教える機会に恵まれることがありまして、そのチャンスを思いっきり「陽だまりの彼女」普及活動に生かしてみたりしたわけです。笑

私が受け持ったのは大学生の初級日本語のクラス。全員日本語の予備知識はZEROなものの、もともとアニメやゲームを通して日本に興味のあった子が半数以上で、そのうち二人は花男を観て知っていました。(つかJun Matsumotoの知名度凄いわ❤)

最初はただの日本語のクラスだと思って引き受けたんですが、ところがどっこい、文化もある程度カバーせよとの上からの指示がありました。時間と予算が許せば美術館や日本食レストランに行くなどでもよかったんですが、外部からちょいとお邪魔の講師の立場では、そういったことはなかなかハードルが高く、まぁ、手っ取り早いのは映画かな、と。

アメリカの若者に、所謂Japonismではない、現代の日本の姿をよりよく伝えるためには、と、当たりをつけていろんな映画を観ましたが、サムライとゲイシャを避け、アニメを避け、自分が戦争と政治とセックスの話はしたくないということでそれを含む全てを避け、任侠を避け、出来るだけ標準語で話していること、そして何よりも英語字幕入りという点に重きを置いて候補を探したら、なかなかないんですよね、ピッタリなのが。

行き詰ってふと本棚を見たら、「陽だまりの彼女」が目に入りまして。

よく考えたら私の使用した教科書は、学校と職場が主なシチュエーションで、それまでに学習した単語が「陽だまりの彼女」全編通してたくさんちりばめられていて、これだ!と。

標準語を話しているし、ロケでいろいろな現在の関東地方の風景が見せられるのがいいし、暴力的なシーンがない。

中学生の学校生活の様子と会社員の職場の様子(しかも緩めの下着業界とちょっと堅め?な鉄道広告業界)の両方を見せられる。

入社二年目の一人暮らしの若者のアパート内部と新婚のちょっと広めの公団?と、古風な純和風の一軒家とが見せられる。

様々な街の風景。渋谷周辺の雑踏とのどかな江の島とデートスポット。

彼女の親に挨拶するって、日本だとあんな感じ…とか。

日本人の対人コミュニケーションは会社だとあんな感じ、プライベートだとあんな感じ…とか。

外車の新藤先輩と鉄男のくせにイケチャリ通勤の浩介と。

現代日本の若者の様子を伝えるのにこんなに最適な映画があったんですね!!!!って感じです。

三木監督、どうもありがとうございます!!!

あいにく、日本のセルDVD・ブルーレイには英語の字幕がついておらず、急いで香港市場用のセルブルーレイを取り寄せました。(大丈夫、ちゃんと公式商品です。)

(一つ苦言を呈すると、日本のにも英語字幕付けといて欲しかったです…。最初陽だまりの彼女を候補から外していたのは日本セル盤に英語字幕がなかったから。でも国際線の機内やカナダの映画祭で字幕上映してたんだから、字幕作ってないわけないな、と調べたら香港市場盤発見に至りました。あと香港盤の英語字幕は時々タイミングずれたり、訳がとんでもなく間違ってるって部分がありました。確か二か所、上映後正しい訳の補足説明が必要でした。)

はじめは「ちぇ~、先生の選んだ映画なんてどーせ面白いわけないじゃん」的に、斜に構えていた子たちが、だんだんと前のめりになって行き、時間の制約の都合であるシーンで止めた瞬間、大勢が息を飲んだのが面白かったです。

生徒たち: はっ!

私:続きは次回の授業で。

生徒たち: えええええ!!!!

私: ここまでどうだった?

生徒たち: 頷きながらサムズアップのジェスチャー

私: いい? 好き?

生徒たち: ハイ!

といった感じで、

上映後に簡単な感想文を宿題として課したのですが、すごく好評でした!

んもう、読みながらにまにまが止まりませんでしたよー。

だってさ、18歳アメリカ人男子が、「一番好きな映画になった。」とか言うんですよー!

他の男子も「授業なのに泣きそうになった。」とか。かわいいじゃないかー。

他にも、また観たい、とか、友だちにも勧めたい、とか。とかね。

あと、アメリカ人ならではのちょっと面白い視点もシェアしてくれたのですが、長くなるのでまた明日に続いてもいいかな…?

念のため。日本でも同様かと思いますが、アメリカの大学の授業では、講師が正規に購入した映像作品ディスクを教育目的でクラス内で上映することは法律で認められています。